隠された宝

第1課 動物のふしぎ 

1.動物の知恵

「みんな早く来てー!ウサギの赤ちゃんが生まれたよー」
いつものとおり早起きして、うさぎにえさをやりにいったさと子さんが、興奮した声で家の人たちを呼んでいます。
「どこ!どこ!」
と健一君がさっそくとび出してきました。動物好きのおとなりのおじさんも顔を出しました。
真白なうさぎのおなかの下で、ピンク色の生き物が四匹、ごそごそ動いています。
「健一君、さと子さん、見てごらん。お母さんうさぎはね、赤ちゃんを生む前に、こうして自分の胸毛をとって、赤ちゃんのためにやわらかい寝床を作るんだよ。赤ちゃんが寒くならないようにね」
「ふうん、りこうなんだなあ、でもいったい誰にそんなことを教わったの」
「これは動物の本能っていうんだよ。誰にも教わらないのに、自然にそなわっている知恵とでもいうのかな」
「誰にも教わらないなんて変だわ、誰かに教わったんでしょう。動物にだってお父さんやお母さんがいるし」
「親のしていることを見よう見まねでおぼえる動物もいるけれど、このような知恵の大部分は自然にそなわっているんだよ。でも本当は神様が動物にも、生きていく知恵をいろいろと与えていらっしゃると考えたほうがいいね。そうだ、健一君、さと子さん、自然の中の宝探しをしてみようか」
「えっ、宝さがし?おもしろそうだなあ」
「どうするの」
「じゃあ、まず、神様が動物たちに与えられたふしぎな力をさがしてみよう」
「すずめもそうでしょう。赤ちゃんが生まれると、親すずめは赤ちゃんの好きな虫をどんどん取ってきて食べさせるでしょう。赤ちゃんは大きな口をあけて、ピイピイ鳴くだけなのに」
「わたしも見つけたわ。リスはね、教えられないのに冬が近づく前に、木の実やどんぐりなどを集めて冬にそなえるでしょう」
「まだまだあるよ。あしたまでにもっとさがしてごらん」

2. 渡り鳥のふしぎ

健一君はその日の午後、自然界の宝のなかから、渡り鳥のひみつを調べてみました。毎年夏になると南から渡ってきて家の前の電線にとまっているツバメ、秋のおわりから冬にかけて北の方から湖にやってくる白鳥のことをいつもふしぎに思っていたからでした。
「お兄さん、渡り鳥にはツバメや白鳥のほかにどんな鳥がいるの」
「一番長い旅をするのはキョクアジサシといって、北極から南極まで渡る鳥だよ。でもぼくたちに身近な鳥では、秋の終わりに近くの雑木林などに来て、夏がくる前にシベリアに渡っていくツグミとか、やはり秋の終わりから冬にかけてやって来て春になると北に帰っていくガンなどだろうね」
「ツバメは毎年同じ巣に帰ってくるというけれど、ほんとうなの。ほかの渡り鳥もみんなそうなの」
「そうだよ、農家の軒先などに巣を作り、毎年初夏になるとツバメが帰ってくるという話を聞いたことがあるだろう。白鳥なども同じ湖のほとりに帰ってくるんだよ」
「わたしなんか方向おんちだから、一度行ったところでも、すぐ迷ってしまうけれど、あんなに小さな鳥が去年いた場所にまたまちがわずにもどってくるなんて、ふしぎね」
「ぼくたちのように目じるしを記憶して場所をおぼえるのではなくて、昼の渡り鳥は太陽、夜の渡り鳥は星を目じるしにして、航海する人が航路をきめるために磁石のコンパスを使うのとまったく同じ方法で太陽のコンパス、星のコンパスを使って飛ぶんだって」
「なんの目じるしもないような広い海を渡ってこられるなんて、ほんとうにすごいわ」
「神様って、本当にすばらしい力を渡り鳥たちに与えておられるんだね」
「ほんとにそうね」

3. 皇帝ペンギンのふしぎ

さと子さんの家では数日前ににわとりが卵をかえしました。3週間もの長い間、めんどりは時々えさをついばむだけで、すっと卵をあたため続け、ついにかわいいひよこが生まれたのです。さと子さんは同じ鳥でも、つめたい氷の海に住んでいる皇帝ペンギンがどうやって卵をかえすのか調べました。
「お兄さん、ペンギンのいる南極大陸の冬の気温は何度くらいになるか知ってる?」
「マイナス、えーと、40度くらいかな」
「実はね、もっと寒くて、マイナス60度くらいになるんですって。ペンギンはこの一番寒い冬のはじめに卵を生むのよ。そしてめすはこの卵を数日だいただけで、おすにあずけて、仲間といっしょに、ひなにあげるえさをとりに、遠い海に旅に出かけてしまうの。おすは両足をぴったりとくっつけて、その上に卵をのせ、皮ふでおおって、2カ月もの間、何も食べずに卵をあたため続けるの。そして卵がかえってからは、めすが帰るまで自分の胃の分泌液を赤ちゃんに与えて待っているんですって。めすがひなに与えるえさをいっぱい『そのう』もためて帰ってくると、こんどはおすがえさをさがしに出かけ、また『そおう』にえさをいっぱい入れて帰ってくるんですって」
「『そのう』ってなあに」
「食道の途中にある袋のことだよ」
「ふうん、大変な子育てなんだね」
「南極は寒いから、おすとめすで協力しないと育たないのかもしれないわね」
「健一君もさと子さんもよく調べね。自然界にはほかにもまだまだ神様の知恵がかくされているから、しらべてみるとおもしろいよ」

まとめ

自然界にはいろいろな種類の動物がいて、それぞれちがった性質をもっています。神様は動物たちが生き、そして子孫を残すことができるように、本能というふしぎな知恵を与えておられます。みなさんも動物のふしぎを調べてみませんか。

宝のことば

「空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取り入れることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。」   マタイによる福音書6ノ26


第1課 復習問題

1. 「宝のことば」を書いてください。

2. 神様はうさぎにどんな知恵を与えられましたか。1を読んで考えましょう。

3. 神様は渡り鳥にどんな知恵を与えられましたか。2を読んで考えましょう。

4. 神様は皇帝ペンギンにどんな知恵を与えられましたか。3を読んで考えましょう。

5. そのほか、神様が動物に与えられた知恵にどんなものがありますか。知っていることを書いてください。

6. この課を勉強して感じたことや、実行したいことなどがあれば書いてください。


Copyright (C) 2005 by VOP Japan at Japan union conference of Seventh-day Adventist church. All Rights Reserved